インフルエンザに感染した女性 インフルエンザに感染した場合には、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬を使用しますが、その代表的治療薬に「リレンザ」があります。

リレンザは、同じく抗インフルエンザ薬として知られている経口タイプの「タミフル」とは異なり、吸入タイプの治療薬となっています。
同じ抗インフルエンザ薬でも有効成分がそれぞれ異なるため、使用方法も異なります。

抗インフルエンザ薬を使用する上で多くの人が不安視していることは、使用する治療薬の安全性や副作用です。
以前、タミフルを服用した患者が、その後異常行動を起こして亡くなった事故が大きな問題となりました。
この異常行動は、診察した医師によってはタミフルの副作用と判断しています。

では、リレンザの場合、使用後に起こる副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。
また、その副作用にはタミフルのような異常行動が現れるケースがあるのでしょうか。

リレンザの副作用はどのような症状?

リレンザは、インフルエンザ治療薬である「ザナミビル」の商品名で、世界で最初に開発された治療薬です。
経口ではリレンザの効果を十分に発揮することができないため、吸入での使用となっています。

経口薬は、口から服用すると消化管で溶けて吸収され血液に入り込みます。
そして、血液と一緒に全身を循環し、やがて肺や軌道へと到達して効果を発揮します。
吸入薬は、口から直接吸い込むことで、消化管を通らず一気に肺へ到達して効果を発揮します。

治療薬の副作用は、血液に乗って全身を巡ることで起こります。
タミフルは、経口薬であるため薬の効能がターゲットとする肺や気道以外にも作用してしまうため起こってしまいます。
一方、リレンザは口から直接肺や軌道に到達するため、薬の効能がターゲットのみに作用するので、タミフルよりも副作用が少ないとされています。

リレンザはタミフルよりも安全とされていますが、いくつかの副作用が報告されており、中には重篤なものも含まれています。
リレンザの副作用は、大きく分けて6つあります。

具体的な副作用一覧

アナフィラキシーショック・それ以外のショック症状
アナフィラキシーショックが起こることで血圧低下、呼吸困難、咽頭浮腫、嘔吐などの自覚症状が起こることがあります。
また、その他のショック症状により蕁麻疹、顔のほてり・痒み、動悸、息切れなどが起こる場合があります。
気管支攣縮(きかんしれんしゅく)
気管支が痙攣を起こして収縮することで、呼吸困難がおこります。
呼吸困難になることで、ぜんそくに似た症状が起こる場合もあります。
中毒性表皮壊死融解症
様々な皮膚障害が起こり、表皮部分に水ぶくれなどができ火傷のような痛みが起こります。
また、発熱や口腔内が荒れる場合もあります。
皮膚粘膜眼症候群
様々な皮膚障害によって皮膚に水膨れができるほか、まだら模様に赤くなることもあります。
また、発熱が起こったり関節痛、目の充血や痛み、口唇のただれなどが起こる場合もあります。
多形紅斑
手足の甲や肘・膝などに、円形の紅斑が左右対称に多発します。
それに伴い痛みが起こり、発熱する場合もあります。

これら5つの症状は特に重篤な副作用となるため、このような症状が現れた場合には直ちに医療機関で適切な処置を受けましょう。

その他の副作用としては、全身または各組織において、様々な副作用が起こる場合があります。
患者さんによって起こる副作用も異なるため、使用後には注意して観察する必要があります。

  • 全身:発熱、発汗、低体温、背中痛など
  • 呼吸器:咽喉・鼻道の刺激感、鼻水・鼻血、喘鳴(ぜんめい=ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)など
  • 消化器:吐き気・嘔吐、下痢、口内炎、食欲不振、胃のむかつきなど
  • 循環器・神経系:動悸、頭痛、手足のしびれ、不眠など
  • 感覚器:耳鳴り、臭覚障害など

その他の副作用

その他にも、有効成分などに過敏な方は、蕁麻疹ができたり顔面浮腫が起こる場合もあります。
精神神経にも作用する場合もあり、うつ病のような症状が現れることもあります。

このように、リレンザには多くの副作用があるため、使用する際には注意事項を守る必要があります。
例えば、アレルギー体質の方や持病がある方は、診察を受ける際に事前にその旨を報告することが大切です。
特に、喘息などの呼吸器系の持病がある方は注意が必要です。

また、副作用が起こりやすい人として、小児、妊婦または妊娠の可能性がある方、授乳中の方、乳製品にアレルギー反応を起こす方などは、リレンザを使用する際には特に注意する必要があり、必ず医師に相談しましょう。

中でも小児への使用により、副作用とは異なる異常行動を起こす可能性があるため、家族など周囲が注意しながら観察することが大切です。
実際に発生した事故も、家族が目を離した際に起こっており、普段は持病もなく健康体であっても油断は禁物です。

タミフルの副作用の異常行動はいまだに注意が必要?

注意する医師 抗インフルエンザ薬による異常行動が問題視されるようになったのは、経口インフルエンザ薬のタミフルによるものです。
タミフルを使用した後に発生した異常行動としては、マンションから転落死した事例、家族の外出中に屋外に出てトラックにはねられて事故死した事例などがあります。
このような異常行動は、14歳・17歳の子供で起こっていますが、10代未満の幼児なども含め発生している年齢層は幅広いです。

転落死や事故死は、タミフルを服用後に発生していることから、当時は副作用による異常行動だとされ、報道でも多く取り上げられてきました。
その結果、「タミフル=異常行動・危険」というイメージが多くの人の中ででき上がってしまいました。
ところが、その後になって異常行動が起こるのは、タミフルを服用したからだとは断言できないことが分かってきました。

2015年に厚生労働省は、タミフルとインフルエンザによる異常行動の因果関係について、疫学研究(集団を対象に健康に関係する要因を究明すること)の結果から、確実に関係性があると結論付けることが困難であると公表しました。
更に、タミフルを服用していなくても、インフルエンザに罹ることで異常行動を起こす可能性があるとも明確にしています。

タミフルの副作用として、痙攣(けいれん)・譫妄(せんもう=意識障害により頭が混乱した状態)・嗜眠(しみん=常に睡眠状態が続き、強い刺激を与えないと覚醒しない状態)などの、精神・神経症状が起こると添付文書にも記載されています。
そのため、タミフルを服用したことで、このような副作用が起こり異常行動へとつながったと考えられていました。

また、タミフルの血液に乗って全身を巡ることで、脳内へと有害な刺激物質を侵入させないバリア機能を果たす血液脳関門が、インフルエンザウイルスにより何らかの障害を受けバリア機能が低下したため、脳内にタミフルの成分が高濃度で侵入し、その成分が過剰に作用して異常行動につながったとも考えられていました。

実はタミフルと異常行動は関係ない?

ところが、転落死したインフルエンザ患者の脳組織内を調べた結果、タミフルの成分は脳内の血液中からはほとんど検出されなかったのです。
この結果から、タミフルを服用したことで、脳内に高濃度で移行して成分が作用する可能性がなくなったのです。
そのため、適正な用量を服用しただけでは異常行動を引き起こす可能性は低いことが分かりました。

また、異常行動は何もタミフルの服用後だけではなく、リレンザなどでも同様に起こっていることも報告されていたため、タミフルによる副作用と断定するのは困難だと判断されました。
これらの理由から、タミフルの副作用として異常行動を注意するのは間違いであり、むしろインフルエンザによるものとして起こると考えられます。

インフルエンザによって起こる異常行動としては、患者によって様々あります。
例えば、突然立ち上がり部屋からでようとする、興奮状態になり駆け出す、意味不明な言葉を発する、ベランダに出て柵を越えようとする、外出する、話しかけても反応しない、突然笑い出すなどです。

様々な異常行動がタミフルによるものだと断定できないからといって、安全だとは言えません。
実際、タミフルには様々な副作用が起こったという報告があるため、家族は服用させたからといって安心はできません。
インフルエンザに罹った時点で、完治するまでは家族は注意を払うことが最も大切です。

特に、異常な行動を起こしやすいのが、10歳未満の幼児から17歳くらいまでの高校生で、主に睡眠中や目覚める直前が最も注意するべき時間帯としています。
幼児の場合は重症化しやすく、脳炎や脳症、熱性けいれん、気管支炎、肺炎などを起こすこともあるため、インフルエンザの症状が小康状態になるまでは周囲が目を離さないようにしなければなりません。

副作用の異常行動を防ぐには周囲が観察する

インフルエンザによって起こる異常行動を防ぐためには、周囲は一体どのように行動すれば良いのでしょうか。
最も大切なことは、家族など周囲がインフルエンザ患者を注意深く観察することです。

私達は体調を崩した際、医師に診察してもらい薬を処方してもらうことで、「これで治る!」と一安心してしまいがちです。
実際に、薬を処方してもらうことで快方へと向かう病気もたくさんあります。
しかし、インフルエンザの場合ウイルスが原因で起こる感染症であり、そのウイルスが脳へと侵入してしまうとインフルエンザ脳症を引き起こす可能性もある、恐ろしい病気です。
特に、幼児は脳症を引き起こしやすいとされています。

リレンザなどの抗インフルエンザ薬は、体内に侵入したインフルエンザウイルスの増殖を抑制して症状を緩和させる効果があるため、発症から48時間以内に使用することが大切です。
ただし、48時間以内に薬を投与したからといって、患者を一人にさせることはとても危険です。
薬を投与したからといって安心するのではなく、家族など周囲が注意深く観察していくことが最も安全だと言えます。

異常行動への対策

万が一、異常な行動を起こした場合に備えて防止策を立てることも大切です。
一戸建て住宅の場合には、2階以上に寝かせないようにすることで、ベランダから転落する危険性を回避できます。
また、勝手に外出しないよう玄関のドアや庭へとつながる引き戸には、しっかりと鍵をかけておきましましょう。
これにより、家族が目を離した隙に外に出て事故に遭う危険性がなくなります。

高層マンションなどに住んでいる場合には、ベランダへの窓や玄関ドアの鍵はしっかりとかけておくことが大事です。
現在のドアや窓は防犯のため二重・三重ロックが当たり前となっているので、1回のロック解除で開かないように面倒でも二重・三重に鍵を掛けましょう。
これにより、ベランダからの転落死を防ぐことができます。

異常行動が起こりやすい時間帯は、眠っている間や目が覚める少し前が最も多いとされています。
例えば、睡眠中に突然目を覚まして走り回ったり、奇声を発するという事例が実際に起こっています。
リレンザを投与して症状が安定し、落ち着いて眠っているからといって安全だとは決して言えません。
異常行動はいつ起こるか分からないため、周囲が観察していなくてはいけないのです。

異常行動など副作用の知識は家族で共有

家族が交代で観察していても、患者の異変に気付かなくては意味がありません。
そのため、インフルエンザによる異常行動や、リレンザなどの抗インフルエンザ薬による副作用の知識においても、家族で共有している必要があります。

観察する家族全員がインフルエンザによる様々な異常行動や、治療薬による副作用などを知識として把握しておくことで、万が一異変が起きた場合にも落ち着いて対処することができるようになります。

万が一、自分の子供がインフルエンザに罹り何らかの異変が起こった場合、全く知識を持っていないとどうしたらよいの分からず慌ててしまいます。
特に子供の場合には、インフルエンザ脳症が怖いため早めの対処が必要です。
しかし、子供の異常行動に動揺してしまい焦って頭が真っ白になってしまうと、適切な対処法も行えなくなってしまいます。
こうした状況になる確率は少ないとしても、決して0%ではないので家族で状況共有をしておくことは必要です。

治療薬における副作用については、経口薬のタミフルよりも吸入薬のリレンザの方が起こる確率が少なく安全とされていますが、投与したから大丈夫と一人にするのではなく、その後の経過も観察するようにします。
副作用も、異常行動と同様にいつ起こるのか分からないため安心はできないのです。
万が一副作用が起こっても、焦らず症状を確認し、ショック症状や痙攣、意識低下がみられる場合には、直ちに救急車を呼ぶようにしましょう。

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